バイオリン協奏曲第3番ヘ長調 RV.293 「秋」について
<第1楽章:アレグロ(小作農のダンスと歌)>
農民達は、イタリアの秋の風物詩でもあるぶどうの収穫に一生懸命です。無事に収穫が終わると農民達は安堵しワインを飲み足元をふらつかせながらも、いつしか愉快に踊り大騒ぎを始めます。
農民達の大騒ぎしている様子を陽気な舞曲で、やや不安定な音色で独奏バイオリンの旋律が酔いつぶれていく農民達の姿が表わされています。
農民達は、ぶどう酒を惜しげもなく注ぎあいますが、やがて踊り疲れてくたくたになっていくのです。
<第2楽章:アダージョ・モルト(よっぱらいの居眠り)>
農民達の大騒ぎは次第におさまって行き、うかれた舞曲は弱まっていきます。
ぶどう酒は、にぎやかに踊るすべての農民達を無意識のうちに、静かに眠りの世界に誘い込んでいきます。
いかにも眠気を誘う表現が独奏バイオリンの長音のリズムで表され、チェンバロの奏でるアルペジオがこれを引き立てているのです。
アルペジオとは、和音を構成する音を一音ずつ低いものから(または、高いものから)順番に弾いていくことで、リズム感や深みを演出する演奏方法であると言われております。
<第3楽章: アレグロ(狩り)>
曲調はリズミカルなテンポに転じ、秋の狩猟を表す快活な演奏に変化します。夜が明けると、狩人が狩猟の準備の為に、角笛(フレンチホルン)を携え、猛犬を従えて出掛けていく息ずかいを描写しています。
獲物である野うさぎは、追跡され逃げまどいますが、やがて猛犬に追い詰められ奮闘することもできずに力ついていき息絶えてしまう様子が表現されています。