バッハの「6つの無伴奏チェロ組曲」-第3組曲ハ長調 「第3曲~第4曲」

バッハの「6つの無伴奏チェロ組曲」-第3組曲ハ長調 BWV.1009 「第3曲~第4曲」

今回は、前回に続いて6つの無伴奏チェロ組曲-第3組曲から、第3曲、第4曲」について紹介します。

③第3曲「クーラント」二部形式、3/4拍子。
3曲目は、随所に流暢で快活な旋律が見られるのが印象的です。
その為に、演奏者はチェロの弦の上を這わせる指の運びに気を配る必要があり、このような技巧性の高い演奏方は円滑な音域とその流れを生む弾みとなるのと同時に、バッハが如何に優れた演奏者であったかを垣間見ることができるものと思われるのです。

④第4曲「サラバンド」二部形式、3/2拍子。
堂々とした重厚な音域を用いて、絶妙な旋律を醸し出しており、大地を踏みしめるように段階的に音域が下降していくさまが、他の曲には見られない何とも優美な曲調となっています。

チェロ独特の重厚で鳴くような音色が、巧みに表現されており、個人的にはこの4曲目が一番印象が強く、気に入っているパートでもあります。

チェロの音色が好きな人には、是非この4曲目を念入りに聴いてもららいたいと思います。

バッハの「6つの無伴奏チェロ組曲」第3組曲ハ長調(第1曲~第2曲)

バッハの「6つの無伴奏チェロ組曲」-第3組曲ハ長調 BWV.1009 「第1曲~第2曲」

今回は、前回に続いて、6つの無伴奏チェロ組曲 -第3組曲から、第1、第2曲を紹介します。

①第1曲「前奏曲、プレリュード」12/8拍子。
リトルネッロ形式で作られており、特徴的なのはバッハがあまり自己の作品では取り上げて
いない演奏様式が見られる点です。

例えば、同じ旋律を重複させるパートにおいては、音の強弱を明確にする為の記号の配列が駆使されているところにあります。

また2本以上の弦を用いて同じ音を交互に奏でる事により絶妙な効果音を作り出している点にも、そのようなこの曲独特のモチーフを編み出しているのです。

②第2曲「アルマンド」二部形式、4/4拍子。
第1番、第2番組曲の「アルマンド」よりも、緻密でより繊細さが顕著に表現された曲調がいかにもバッハらしい優美な音の組み立て方であると思わせるようなところがあります。

また全体を通して曲のテンポも比較的、穏やかで程良くゆったりと着実に演奏されている面持ちがあり聴いている者に心地良さを与えてくれるのです。

バッハの「6つの無伴奏チェロ組曲」 -第3組曲ハ長調

バッハの「6つの無伴奏チェロ組曲」-第3組曲ハ長調 BWV.1009 (その5)

この第3組曲は、バッハの6つの無伴奏チェロ組曲の全6曲中の中でも最も広く親しまれた曲となります。

興味深いのは、バッハがこの第3番を作曲した当初は、演奏の主体となるチェロが、現代のチェロとは少々違う楽器が用いられていたものと言われております。

この楽器は2種類が想定されており、その1つは外観や演奏方法はチェロなのですが、現代のチェロよりも少々小型の楽器であった様です。

また一方では、現代のバイオリンやビオラのように肩において演奏するという小型の楽器であった様ですが、高域の演奏を実現する為に、弦を1本追加し合計は5弦とすることで、その音域は現代のチェロと同様であったと言われています。この曲は高音域で弾く旋律が多いので、このように弦を1本追加しない4弦では演奏に困難性が伴う曲であるのです。

なお、このような当時の古楽器を使用した演奏ではないのですが、希に見るその超絶した優れた演奏があたかもバッハの演奏を回想させるかのような心境にさせてくれる演奏を収録した1枚があります。

演奏を収録したCDとしては、以前この曲集の作曲の背景でも少々触れたように、やはりパブロ=カザルスの演奏をお薦めしたいと思います。