この第3組曲は、バッハの6つの無伴奏チェロ組曲の全6曲中の中でも最も広く親しまれた曲となります。
興味深いのは、バッハがこの第3番を作曲した当初は、演奏の主体となるチェロが、現代のチェロとは少々違う楽器が用いられていたものと言われております。
この楽器は2種類が想定されており、その1つは外観や演奏方法はチェロなのですが、現代のチェロよりも少々小型の楽器であった様です。
また一方では、現代のバイオリンやビオラのように肩において演奏するという小型の楽器であった様ですが、高域の演奏を実現する為に、弦を1本追加し合計は5弦とすることで、その音域は現代のチェロと同様であったと言われています。この曲は高音域で弾く旋律が多いので、このように弦を1本追加しない4弦では演奏に困難性が伴う曲であるのです。
なお、このような当時の古楽器を使用した演奏ではないのですが、希に見るその超絶した優れた演奏があたかもバッハの演奏を回想させるかのような心境にさせてくれる演奏を収録した1枚があります。
演奏を収録したCDとしては、以前この曲集の作曲の背景でも少々触れたように、やはりパブロ=カザルスの演奏をお薦めしたいと思います。