バッハのインべンション(その4)BWV777~BWV778

バッハのインべンション(その4)BWV777~BWV778

前回に続いて、バッハのインベンションについて紹介していきます。
今回は、第6番~第10番までの特徴となります。

第6番・ホ長調 BWV777 「3/8拍子」
この曲の特徴は、巧みな切分法を用いているところにあります。
切分法とは、シンコペーションとも呼ばれ、ひとつの音階がより劣位性のある拍から、より優位性のある拍に演奏されることで生みだされる独特のスタイルです。

たとえば、小節の弱い拍から、次の小節の最初に置かれる強拍まで対になりひとつの音としてつながっている形式が、典型的な切分法となります。

またこの第6番は、そのほかのインベンションよりも演奏時間が長め(3分程)になっていますが、これは、リピートとなる指示が楽譜に2か所以上も付いている為であり、多少なりとも聴きごたえを感じることができるかと思われます。

第7番・ホ短調 BWV778 「4/4拍子」。
第7番の特徴は、冒頭より抒情的なリズムが印象的なところにあります。
また少々長めに2つの同音が繰り返えされるリズムが、いかにもバロック音楽(バッハの作品)らしく、今更のように教えてくれるのです。

全体に淡白な曲想にも思われますが、ピアノの演奏ではけして聴くことができない、クラビアによる演奏でなければ表現されにくい、この曲のモチーフがよく浮き彫りにされた曲であると思われます。
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バッハのインべンション(その3)BWV774~BWV776

インべンション(その3)BWV774~BWV776

今回は、バッハのインベンションを第3番~第5番までの特徴を紹介していきます。

第3番・ニ長調 BWV774「3/8拍子」
第3番は、第1番と同様に長調で作られています。
全体的に明るく優雅な趣を表現しています。
一見すると坦々としているようですが、流れるような美しい旋律が特徴となっています。

第4番・ニ短調 BWV775「3/8拍子」
第2番と同様に短調で作られており、上昇音階が主体に構成されているモチーフです。 
複数のパートで、時おり異なる2つの音階を、やや長めに早いテンポで繰り返し演奏している個所がこの曲の特徴です。

第5番・変ホ長調 BWV776 「4/4拍子」
既にお気付きかと思いますが、インベンションでは奇数の作品では長調が、偶数の作品では長調で規則的に作曲されています。
第5番も、これに従いやはり長調で構成されています。
軽やかなメロディーが印象的で、聴く者がいつしか踊りだしたくなるような、また演奏の楽しさすら感じ取ることができる曲です。

バッハのインべンションBWV772~BWV773(その2)

バッハのインべンションBWV772~BWV773(その2)

前回に続いて、インベンションの紹介となります。
ここではBWV772~786までの全15曲、各々の特徴を簡単に触れていきたいと思います。

まず今回は、1番と2番についてです。

第1番・ハ長調 BWV772「4/4拍子」
15曲あるインベンションの中でもとりわけ名高いが第1番ハ長調です。
この曲の主題は、16分音符と8分音符の絶妙な組み合わせから構成されている独特な特徴があり、個人的には一度聞くとしばらく耳に残る旋律が印象的です。

第2番・ハ短調 BWV773 「4/4拍子」
第1番とは対象的に、第2番は短調で作られています。
冒頭では、下降していく音階をモチーフにした主題が特徴的です。また、前半の10小節と後半の6小節目までは2小節遅れとなる厳格なカノンが特徴です。

なお、カノンとは複数の楽器または声部が、同じ旋律で異なるタイミングでそれぞれが演奏または合唱をする様式の曲となります。