絶え間ない協奏曲への創作意欲(序説編)

ビバルディの絶え間ない協奏曲への創作意欲(序説編)

1729年にビバルディは、歌劇「アテネの人々」RV.702をフィレンツェにて上演しております。ビバルディは、ベネチアやフィレンツェ等の都市で成功を治めた歌劇を中心とする作品の上演だけではなく、旅先や旅から戻りベネチアにて、自己の十八番と言える協奏曲の新作を創作し続けることにも、更に意欲を燃やしていた為か、けしてその活動の手を休めることはありませんでした。

このようにして同年には、フルート協奏曲集等(作品10)、バイオリンとオーボエの協奏曲集(作品11)、バイオリン協奏曲集(作品12)、を作曲し出版している背景から、既に50歳を過ぎた年齢で病気がちだった身とは言え、そのエネルギッシュなビバルディの創作意欲には目を見張るものが感じられます。

ビバルディの「ラ・チェトラ」(後編)

ビバルディの協奏曲「ラ・チェトラ」について(後編)

⑩協奏曲 第10番 ト長調 RV300 
<1楽章「アレグロモルト」、第2楽章「ラルゴ・カンタビレ」、第3楽章「アレグロ」>、
1曲目では、高から低の和音を順番に奏でることで、旋律の独特のリズム感と深みを演出している特徴が見られます。
先に触れた第4番の第3楽章を思わせるような躍動感に満ちた旋律が3曲目に見られるのが印象的です。

⑪協奏曲 第11番 ハ短調 RV198a 
<1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」>、
1曲目では、弦楽器の持つ重厚な低音のハーモニーが最大限に感じ取れる魅力があります。
3曲目では11番の締めにふさわしいビバルディらしい巧みな演奏技巧が随所に見られる特徴があります。

⑫協奏曲 第12番 ロ短調 RV391
<第1楽章「アレグロノンモルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロ」>、
1曲目は、明朗快活な曲調で、2曲目は重厚なハーモニーと独奏の対比が特徴です。
また先に触れた第6番と同様に、変則調弦が用いられた演奏にも特徴があります。
これはバイオリン等の弦楽器において、4本の弦の複数または1本を意図的に通常と異なるピッチにして、楽器本来の調弦法とは違う音にして演奏する奏法であることは言うまでもありません。

以上の全12曲を通して聴く場合には、ライブでと言いたいところですが、CD録音等でも十分ご理解いただけます。
個人的にはやはりその洗練された演奏を余すところなく聴かせてくれる「イタリア合奏団」の演奏をお薦めします。

ビバルディの「ラ・チェトラ」(中編)

ビバルディの協奏曲「ラ・チェトラ」について(中編)

以下に6番から9番までの6曲の構成と特徴について記します。

⑥協奏曲 第6番 イ長調 RV348 
<第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロノンモルト」>
変則調弦があるのが特徴で、ビバルディが活動したバロック時代では、作曲者の意図するところを表現しやすくする為に、頻繁に用いられた演奏法であったことから、この時代をよく反映した曲調で仕上げられていると思われます。

⑦協奏曲 第7番 変ロ長調 RV359 
<第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロ」>
1曲目は美しい旋律を醸し出す気品さの中にも、どこかたくましさを表現する気迫を感じ取ることができます。
3曲目では斉奏が見られる特徴があります。

⑧協奏曲 第8番 ニ短調 RV238 
<第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロ」>
1曲目、2曲目では、いかにもビバルディらしい奥深い孤独感の様なものが内面からきらびやかさと共ににじみ出てくる様な表現が感じられます。
3曲目では高い技巧性を強調するだけでなく、独特の旋律が気高さのようなものを表現しようとしているのが特徴です

⑨協奏曲 第9番 変ロ長調 RV530
<1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴスピッカート」、第3楽章「アレグロ」>
1曲目は、2台の独奏バイオリンによるリズミカルなテンポの旋律が特徴です。
2曲目では、2台のバイオリンが奏でる経過的な淡々とした曲調が見られます。

ビバルディの「ラ・チェトラ」(前編)

ビバルディの「ラ・チェトラ」について(前編)

以下に12曲のバイオリン協奏曲の内、まず順番に5曲の構成とその特徴について記します。

①協奏曲集協奏曲 第1番 ハ長調 RV181a
<第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロ」>
2曲目の独奏パートでは情緒深い音色が漂い、3曲目ではこれと相反してリズミカルな曲調に変わるのが印象的です。

②協奏曲 第2番 イ長調 RV345
<第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロ」>
1曲目で長調と短調が斉奏し、3曲目では朗らかな明るい旋律が特徴です。

③協奏曲 第3番 ト短調 RV334 
<第1楽章「アレグロノンモルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロノンモルト」>
旋律に重厚さすら感じられる1曲目と、通して落ち着いた旋律の2曲目が特徴です。

④協奏曲 第4番 ホ長調 RV263a 
<第1楽章「アレグロノンモルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロノンモルト」>
1曲目では旋律のメリハリが顕著な構成で、また3曲目が第1番の3曲目の曲調と同様にリズミカルな躍動感があるのが特徴です。

⑤協奏曲 第5番 イ短調 RV358 
<第1楽章「アダージョプレスト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロ」>
短い序奏のある1曲目とビバルディらしい情熱的な音色を表現する3曲目が特徴です。

ビバルディのもう1つの協奏曲集「ラ・チェトラ」

ビバルディのもう1つの協奏曲集「ラ・チェトラ」について

ベネチアでビバルディを取り巻く環境は変わりつつありましたが、それでもまだ自己の音楽を理解し、必要としてくれている人々がいるものと信じで止まないビバルディの創作活動の情熱が、晩年の華麗で躍動感に満ちたビバルディの音楽の根源になっていたものと思われます。
それを裏付ける作品の1つがこの「ラ・チェトラ」ではないでしょうか。

1728年に、 神聖ローマ皇帝カール6世(1685-1740年)に拝謁する機会に恵まれ、この協奏曲集「ラ・チェトラ」を献呈することになります。
なお、カール6世は、ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝であり、芸術の育成と保護に力を入れた人物です。
音楽のみに限らず、美術や、建築など幅広いあらゆる文化を対象に深い理解を持っていたと言われ、当時ビバルディの創作する音楽にも多大な関心を示し、評価した人物でした。

「ラ・チェトラ」は、12曲のバイオリン協奏曲集.作品9と言われ、「四季」作品8と同じように12曲のバイオリン協奏曲集で、それぞれが「急、緩、急」の3楽章から構成されています。

今日では「四季」と同様に広く親しまれた曲集で、先に触れた作品3、作品4共にビバルディの数多くある協奏曲の1角と称される作品です。

ビバルディの生涯「円熟期の活動」

ビバルディの生涯
「円熟期の活動」について

「12曲のバイオリン協奏曲集」にて、ビバルディは作曲家としての才能をあますところなく発揮し、パリでは先に触れたルイ15世がこの曲を高く評価し、ベルサイユ宮殿などで頻繁に上演したことから、ビバルディの名声はより世に広まったと言われております。

が、それでも以後1726年から28年まで謝肉祭の時期になると、ビバルディはベネチアのサンタンジェロ歌劇場の主任作曲者を務めるかたわら、ベネチア以外の近隣都市での自分の作品の上演に力を注いでいきました。

そんな中、1727年に上演した歌劇「ヒュペルメストラ」RV.722が好評となり劇場に多大な利益をもたらすことになります。

その他、歌劇「ファルナーチェ」RV.711や、歌劇「怒れるオルランド」RV.728を作曲するなど,依然として活動的な作品の創作、および興行師として劇場での自己作品の上演等をナポリやフィレンツェなどの各都市で継続していくのでした。

また同時にこの頃より、旅から旅へと音楽活動する生活が続いたこともあり、ビバルディの健康状態は少しずつ悪くなっていった時期でもありました。

一方、ベネチアでは、昔から常により新しい音楽を求める気質があったことから、ビバルディの人気ぶりは残念ながらかつての勢いは無く、次第にうつろいでいくこととなります。
こうして時は、同時にビバルディにとって円熟期へと移っていきます。

ビバルディの協奏曲第7番 ニ短調 RV.242

ビバルディの協奏曲第7番 ニ短調 RV.242について

②(協奏曲第7番の紹介)
<第1楽章 >
4/4拍子で、5つのトゥッティと4つの独奏パートからなるリトルネッロ形式となっております。またトゥッティは、2つの動機からなり、これがうまく組み合わせられて他のトゥッティに使われております。
全体的には、短調が主体で構成された楽章です。

<第2楽章>
3/4拍子で、前半8小節、後半8小節の全16小節から構成されております。
なお、前半と後半には反復記号が付けられているため、実際には32小節の楽章となっております。

また、反復演奏をするに当たっては、装飾を伴った技巧を含めて演奏されるべきとの考え方が主流であると言われております。

<第3楽章>
3/4拍子で、4つのトゥッティと3つの独奏パートからなるリトルネッロ形式となっております。
第3トゥッティでは、ヘ長調となりますが、それ以外のトゥッティは短調で独奏パートでも短調が多いため、第一楽章と同じように、短調が主流で構成されております。

なお、12曲のバイオリン協奏曲集には、この他に番号順に協奏曲第6番 ハ長調 RV.180「喜び」、協奏曲第8番 ト短調 RV.332、協奏曲第9番 ニ短調 RV.454、協奏曲第10番 変ロ長調 RV.362「狩り」、協奏曲第11番 ニ長調 RV.210、協奏曲第12番 ハ長調 RV.449がありますが、どれも「四季」に代表される4曲に勝るとも劣らないビバルディらしい魅力的な曲集であると思います。

ビバルディの協奏曲第7番 ニ短調 RV.242

ビバルディの協奏曲第7番 ニ短調 RV.242について

①(ドイツの作曲家への献呈曲)
ヨハン=ゲオルグ=ビンゼル(1687~1755年)に献呈した曲と言われており、和音が含まれているため、演奏には高度な技術が要求される構成となっております。

この協奏曲では、第3楽章の独奏パート全てに二重終止の技巧が用いるので、ここでも更に高い演奏技巧が必要となる特徴があります。

尚、ヨハン=ゲオルグ=ビンゼルは、ドイツのカドルツブルク(ニュルンベルク近郊)の出身で、ドイツ後期のバロック音楽の作曲家です。

また、優れたバイオリニストでもあり、当時ヨーロッパ随一のオーケストラであったドレスデンのザクセン宮廷楽団において楽長を務めた経歴のある人物でした。

ビンゼルの残した作品数はごくわずかでしたが、音楽界への彼の影響力は多大なものであったと言われております。
当時の作曲家達とも深く交流があり、ビバルディもその内の1人でありました。

ビバルディの他、アルビノーニやテレマンなど複数の作曲家たちからバイオリン協奏曲が献呈されていることから、彼の演奏家としての非凡な才能が諸外国の作曲家達から広く認められていたことに象徴されていると思われます。

ビバルディの協奏曲第5番変ホ長調 RV.253 「海の嵐」

ビバルディの協奏曲第5番変ホ長調 RV.253 「海の嵐」

12曲のバイオリン協奏曲集には、すでに紹介した「四季」で代表する4曲の他に、まだまだ興味深い曲があります。ここでは、以下にこの中から代表的な2曲である5番、7番を紹介します。

<第1楽章 変ホ長調 プレスト>
4分の4拍子で、3回のトゥッティの間に2回のソロが挟まれているリトルネロ形式で構成された楽章となっております。
独奏のパートには、技巧的な分散和音が多く使われていて完全に終止されずに変ホ長調の属和音になり半終止する特徴があります。

<第2楽章 ヘ短調 ラルゴ>
4分の4拍子で、16小節の短い楽章から構成されており、頻繁に転調される特徴があります。この第2楽章でも完全終止しないでハ短調の属和音になり第1楽章と同じように終止します。

<第3楽章 変ホ長調 プレスト>
8分の3拍子で、5回のトゥッティの間に4回のソロが挟まれているリトルネロ形式で構成された楽章となっております。
トゥッティは、3回目のトゥッティで変ロ長調とされている個所以外は、全て変ホ長調となっております。
また独奏のパートでは、各パート毎に顕著に音型が変化していく特徴があります。

ビバルディの「四季」協奏曲第4番へ短調RV.297 「冬」

ビバルディの「四季」より
バイオリン協奏曲第4番へ短調RV.297 「冬」について

<第1楽章:アレグロ・ノン・モルト>
冒頭は、冷たい北風の中、村人が寒さで身震いしている様子が、震える音で表現されています。
また通りを歩く人々が、ガリガリと氷を踏んで歩く情景が自然に伝わってくるような気がします。そして、独奏バイオリンの重厚な音色から全楽器が加わると、冬の強風が激しく吹き荒れるのです。

<第2楽章:ラルゴ>
曲調は一転し、独奏バイオリンの音色がいかにも冬の日に暖炉の火を前にして、暖かさと安堵感を与えてくれ、穏やかな時の流れによる休息を表現しています。
また同時に、合奏のバイオリンが静かにピチカートにより窓に降り注ぐ冷たい雨が降っている情景を描写しています。

<第3楽章:アレグロ>
独奏バイオリンは、できるだけ弓を長く使ってゆっくりと静かな旋律を奏で、村人達がゆっくりところばないようにして氷った道を上を歩くようすを表現しています。
しかしどんなに注意深く歩いても、やはり突然、滑ってころんでしまい凍った地面に叩きつけられてしまいました。
そんな中、北風はまた激しく村人の背後から吹き流れていくのでした。
最終的には、少し早いテンポですがいかにも冬の寒さにたくましく生きていく当時の人々の姿を表現しているように思えます。また春夏秋冬の季節の流れと人間をうまく調和させ、閉めにふさわしい曲の終わり方には、聴く者を自然に満足させてくれるのです。

ビバルディの「四季」協奏曲第3番ヘ長調 RV.293 「秋」

ビバルディの「四季」より
バイオリン協奏曲第3番ヘ長調 RV.293 「秋」について

<第1楽章:アレグロ(小作農のダンスと歌)>
農民達は、イタリアの秋の風物詩でもあるぶどうの収穫に一生懸命です。無事に収穫が終わると農民達は安堵しワインを飲み足元をふらつかせながらも、いつしか愉快に踊り大騒ぎを始めます。
農民達の大騒ぎしている様子を陽気な舞曲で、やや不安定な音色で独奏バイオリンの旋律が酔いつぶれていく農民達の姿が表わされています。
農民達は、ぶどう酒を惜しげもなく注ぎあいますが、やがて踊り疲れてくたくたになっていくのです。

<第2楽章:アダージョ・モルト(よっぱらいの居眠り)>
農民達の大騒ぎは次第におさまって行き、うかれた舞曲は弱まっていきます。
ぶどう酒は、にぎやかに踊るすべての農民達を無意識のうちに、静かに眠りの世界に誘い込んでいきます。
いかにも眠気を誘う表現が独奏バイオリンの長音のリズムで表され、チェンバロの奏でるアルペジオがこれを引き立てているのです。
アルペジオとは、和音を構成する音を一音ずつ低いものから(または、高いものから)順番に弾いていくことで、リズム感や深みを演出する演奏方法であると言われております。

<第3楽章: アレグロ(狩り)>
曲調はリズミカルなテンポに転じ、秋の狩猟を表す快活な演奏に変化します。夜が明けると、狩人が狩猟の準備の為に、角笛(フレンチホルン)を携え、猛犬を従えて出掛けていく息ずかいを描写しています。
獲物である野うさぎは、追跡され逃げまどいますが、やがて猛犬に追い詰められ奮闘することもできずに力ついていき息絶えてしまう様子が表現されています。

ビバルディの「四季」協奏曲第2番ト単調 RV.315 「夏」

ビバルディの「四季」より
バイオリン協奏曲第2番ト単調 RV.315 「夏」について

<第1楽章アレグロ・ノン・モルト-アレグロ>
太陽の日差しがかんかんに照りつけているので、灼熱の暑さが絶え間なく続きます。
また木々が燃えそうなくらい熱くなっており、その木陰には羊飼いがぐったりと横たわり、羊達の群れが戯れている情景が表現されています。

そして、足速に一本調子で鳴くかっこうの声が、巧みにバイオリンの音色で表現されています。
かっこうより高い声でキジバトの囀り声で表されています。
心地よく吹くそよ風は、時おり吹く強い北風により突然追い払われてしまい、やがてやって来る夏の嵐を表現しています。弦楽器群が響かせる音の旋律と旋律に続いて絶え間なく奏でられる音の連続性が荒れくるう嵐を表しています。

<第2楽章アレグロ・プレスト・アダージョ>
一瞬で激しく眩い光を放つ稲妻と、地面をはうように伝わってくる雷鳴の轟きで、農夫は休憩で昼ねをすることもできなく、そこへ蜂の大群がブンブンとかん高い音をたてておそいかかってくる様子を独奏バイオリンによって奏でられています。

<第3楽章プレスト:(夏の嵐)>
やがて、農夫の心配が的中してしまい、薄暗い黒雲がどよめく上空の片すみからあらわれた雷鳴は、農夫がてしおに掛けて育ててきた穀物類を打ち倒し、だいなしにしてしまう様子が目に浮かんできそうです。

ビバルディの「四季」協奏曲第1番ホ長調 RV.269 「春」

ビバルディの「四季」より
バイオリン協奏曲第1番ホ長調 RV.269 「春」について

ここからは、協奏曲集「四季」の4曲「春」、「夏」、「秋」、「冬」を各楽章の順を追って紹介します。

<第1楽章アレグロ>:
まず冒頭では、春が訪れた喜びをバイオリン3台が小鳥たちの囀りで表現されています。

また小川のせせらぎは、さざなみを表す優しい音色で奏でられています。

やがて黒い雲が空を覆うと、突然雷が轟音を立て、稲妻が光り出す激しい情景を醸し出す楽節へと誘い込まれていきます。

そして嵐が去ると、小鳥達が陽気なさえずり声で歌い出す表現を独奏バイオリンが高らかに、華やかに奏でられます。

<第2楽章ラルゴ>:
牧草地に花々が咲き乱れて、空に伸びた枝の茂った葉がガサガサと擦れあう音色が表現されています。

弦楽器群の和やかな旋律により羊飼がスヤスヤ眠る情景を、そしてビオラが奏でる音色は羊飼いの忠実な猟犬が吠える姿を想わせるのです。

<第3楽章アレグロ:(田園曲のダンス)>:
陽気なバグパイプの音色に合わせ羊飼いとニンフ(ギリシア神話などに登場する精霊)が明るい春の空の下で踊る情景が表現されています。

なお、バグパイプは、リード式の民族楽器で、簧の取り付けられた数本の音管を留気袋に繋ぎ、溜めた空気を押し出す事でリードを振動させて音を出す楽器で、スコットランドのグレートハイランドが有名です。