ベネチアでビバルディを取り巻く環境は変わりつつありましたが、それでもまだ自己の音楽を理解し、必要としてくれている人々がいるものと信じで止まないビバルディの創作活動の情熱が、晩年の華麗で躍動感に満ちたビバルディの音楽の根源になっていたものと思われます。
それを裏付ける作品の1つがこの「ラ・チェトラ」ではないでしょうか。
1728年に、 神聖ローマ皇帝カール6世(1685-1740年)に拝謁する機会に恵まれ、この協奏曲集「ラ・チェトラ」を献呈することになります。
なお、カール6世は、ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝であり、芸術の育成と保護に力を入れた人物です。
音楽のみに限らず、美術や、建築など幅広いあらゆる文化を対象に深い理解を持っていたと言われ、当時ビバルディの創作する音楽にも多大な関心を示し、評価した人物でした。
「ラ・チェトラ」は、12曲のバイオリン協奏曲集.作品9と言われ、「四季」作品8と同じように12曲のバイオリン協奏曲集で、それぞれが「急、緩、急」の3楽章から構成されています。
今日では「四季」と同様に広く親しまれた曲集で、先に触れた作品3、作品4共にビバルディの数多くある協奏曲の1角と称される作品です。