バッハのブランデンブルク協奏曲(その1)

バッハのブランデンブルク協奏曲(その1)

ケーテンでは、カンタータだけでなく、多くの器楽曲、協奏曲も手掛けており、管弦楽組曲と並んでバッハの代表的な作品であるブランデンブルク協奏曲等を作曲していた事から、充実した音楽活動を展開していたものと思われます。

このブランデンブルク協奏曲は、1721年頃に当時ブランデンブルク辺境伯であったクリスチャン=ルードビィヒ(1677-1734年)に献呈されたもので、1718年から1720年頃に全6曲が創作されたものと言われています。

この曲集の特徴は、合奏協奏曲の形式で作曲されており独奏楽器群、ハープシコード、弦楽器群などの楽器編成により主題が応答されながら曲を展開していくもので、音楽の歴史からみると古典派やロマン派の協奏曲とは相違しているところです。

そして、興味深いのは現在バッハの自筆譜が、ベルリンの国立図書館に残されているのですが、「ブランデンブルク協奏曲」という作品名ではなく、この自筆譜にはフランス語で「いくつもの楽器による協奏曲集」と記されているだけである事です。

無論、我々が知るブランデンブルク協奏曲集と同じ作品ですが、上記のような献呈された曲であることを背景に後世になって、ドイツの地名が用いられ、いかにもドイツのバロック音楽らしい作品として現在世界中の人々に深く親しまれている曲集であるのです。