バロック時代後期のオペラ(6)歌劇「アルジッポ」その2

バロック時代後期のオペラ(6)
歌劇「アルジッポ」(RV.697)その2

(前回から引き続いています)
当然のことながらこの頃は、全幕を通して(全楽譜が既存)の上演であったと思われますが、前に触れておりますように、現在は全幕の楽譜が完全な状態で既存するわけではなく、残念ながら全体の約3割にあたる楽譜が欠落している状態となります。

しかも現在、既存する約7割の楽譜も、何百年もの間その所在が不明のままとされてきましたが、2000年代になってからビバルディの作品を研究する専門家達によって、ようやくその存在がレーゲンスブルクにて発見されたもので、この吉報をビバルディの多くのファンが喜んだばかりか、早々に上演される機会を待ちわびたことも記憶に新しいところです。

なお、気になる欠落していた箇所の楽譜は、最近ではビバルディの歌劇が作曲された当時の、その他の歌劇の一部楽章を参考に、その欠落部分を補正追加されるなどして欠落部の楽譜の復元が試みられており、こうしてビバルディファン待望の歌劇『アルジッポ』は数百年の年月を経て、この世に復活したとの背景があったのです。