バロック時代初期のオペラ(5)カッチーニと「エウリディーチェ」

バロック時代初期のオペラ(5)
カッチーニと「エウリディーチェ」について

(前回の記事から引き続いています)
1600年に、ローマではエミリオ=デ=カバァリエーリ(1550~1602年)が、<魂と肉体の劇>を初演しています。
ただ、この作品は、宗教的な要素が含まれる一方で、演技、技巧などが含まれない構成であることから、現代においては、オラトリオの類にあたる位置付けとされております。

また、同じ1600年には、前述でも触れたカッチーニが<チェファローの誘拐>を初演しております。

さらに、この数年後の1602年には、ペーリと同じ脚本にて<エウリディーチェ>を初演(カッチーニ自身の出版は1600年)しておりますが、<エウリディーチェ>はガリレーイのカメラータに属したカッチーニと、コルシのサークルに属したペーリという異なる2人の作曲家で、しかも同じ時代に作曲されたまれに見る音楽劇であったのです。

以上、バロック時代初期の音楽劇(オペラ)に共通するのは、語りによる伝達性を重要していたことから、言葉の一音節ごとに一つの音を供与させ、反復を避けながら歌を可能な限り語りに近づけようとする技法が見られるところがあった点でした。

この結果、音楽劇は身分の高い教養人が音に合わせ込んだ詩句を授かり受けることを主体とした芸術の類として考えられるようになり、高等、あるいは貴族的な要素で構成される作品が主体となっていったものと考えられます。