モンテベルディの「オルフェーオ」について
(前回の記事から引き続いています)
1607年に、マントバァでクラウディオ=モンテベルディ(1567~1643年)作曲による<オルフェーオ>が初演されました。
1609年には、ベネチアで出版されバロック初期の傑作と称されております。
この作品は、題材こそ前述に触れた作曲家達と同様に、古代の神話伝説をモチーフとしていますが、朗唱風のモノディア形式が主体であったその時代の作品とは相違し音楽によるドマを創作した点にあると言えます。
具体的には、<スティーレ・ラップレゼンタティ―ボ>を取り入れながらも、人間的なドラマの表現として、独唱朗誦にてその心理的な陰影を含んだ旋律を主体とし、アリオーソやアリアを用いたりしているところにあり、理念に捉われずに自由に豊かな感情表現を盛り込んだ様式でありました。
また音楽の劇的な表現効果の手段として、旋法を脱し調を巧みに用いている点においても、優れた劇音楽であったと言われております。
他にも、楽器編成とその演奏法において、当時の管弦楽編成として全体の3分の1を占めていた通奏低音楽器群をその場の雰囲気や登場人物の配役、性格に応じて多彩に駆使した思考が含まれている特徴があります。
なお、後にビバルディも、この作品のモチーフに影響を受けたオペラを創作しております。