バロック時代中期のオペラ(1)オペラハウスの誕生

前回まではバロック時代の初期と言われた頃のオペラや音楽劇の存在などについて、いろいろ書いてきましたが、今日からバロック時代の中期に歴史を移し、またオペラを中心に、しばらく書いていきたいと思います。

バロック時代中期のオペラ(1)
<オペラハウスの誕生>

フィレンツェ、ローマで飛躍した音楽劇は、1637年にベネチアに世界初の商業劇場としての公開オペラハウスが完成したのを期に、モンテベェルディ、カバァッリ,チェスティらの登場で、欧州諸外国へベネチア独自のオペラ搬出を促すまでに発展したのでした。

また、この公開劇場としての商業性からの相乗効果により、同時に歌手、台本作家、舞台装置家なども育まれ、ベネチア・オペラの舞台演出が国際的模範となるようになると、貴族的、文学性な高等な性質が失われていき、大衆娯楽へとその芸術性が変化していきました。

この時代、ベネチアの商業劇場は急激に発展し増加していきましたが、この背景にはベネチア貴族達が自らパトロンとなり劇場所有者となり経営システムの確立をも含め、互いに利権を争うなどして競争力を生み、富と名声の誇示があったためであるとされています。

また同時に舞台演出においても、国際的規模に成長した時期でもあり、遠近法を取り入れた移動式の書割や背景幕の使用、中空を飛ぶための機械装置など、大掛りな機械仕掛けが施された舞台機構は、以後ヨーロッパ全域に普及したオペラハウスの模範となる劇場構造となりました。