バロック時代中期のオペラ(3)当時のベネチア

バロック時代中期のオペラ(3)
当時のベネチアについて

ベネチアでは、歴史的に文化、芸術を市民が生み出し発展させる独自の傾向がありましたが、この傾向はバロック中期のベネチアでも、特徴として垣間見ることができます。

たとえば、その当時のベネチアの聴衆は、あたかも器楽合奏が声の旋律に相槌をするような反響音で形成された三拍子系のアリア(舟唄風)を重要視していましたし、また、描写的なシンフォニアが華麗な舞台を伴って奏でられるスタイルを好んでいたと言われております。

バロック時代中期の頃は、特に耳に易しく順応しながらも、聴き易い和声の流れにより、比較的ポリフォニックな要素を僅かに含めた構成であったのではないかと思われます。

一方では、この時期になると、台本の面白さが献呈の見返り報酬に直結していた背景があります。

作曲家と歌手が、上記のような音楽のスタイルを聴衆から要求され、それを積極的に反映させている点もあり、また、ベネチアの作家たちもシナリオドラマの娯楽性を高めて、台本の印刷経費を自己で負担し、上演ごとに印刷をすることを怠らなかった、と言われております。