バロック時代中期のオペラ(5)チェスティについて

バロック時代中期のオペラ(5)
チェスティについて

カバッリと共に、バロック音楽中期のオペラで重要な位置付けにあったのが、アントニオ=チェスティ(1623~1669年)の存在があります。

ビバルディと同じアントニオの名前をもつこの作曲家は、ビバルディがこの世に生を受ける約半世紀前にアレッツォに生まれており、ベネチアには1640年後半であったものと考えられております。

チェスティは、1651年に第二作目と言われる<恋するチェーザレ>を、サンティ・ジョバンニ・エ・パオロ劇場で初演し、成功を治めております。
この頃から、前に触れた同時代を生きたカバッリのライバルであったと考えられます。

チェスティの代表作としては民族的な音楽要素が随所に表現された<オロンテーア>を1656年にインスブルグで初演し好評を博しております。

また翌年1657年には同じくインスブルグにて<ドーリ>を、また1667年には<セミラーミ>、1668年<金のりんご>をウィーンで初演し、主にベネチア圏外で活躍した功績がきわだつ作曲家でありました。

チェスティのこの活躍は、ドイツやオーストリア圏での海外への普及に大いに貢献したと言われております。