ビバルディとバロック後期オペラの成り立ち

ビバルディとバロック後期オペラの成り立ち

バロック後期のイタリアオペラは、ベネチアで確立しほぼヨーロッパ全域に普及した、商業劇場の構造体系の広まりが後押したこともあり、オペラに携わる多くの芸術家を育むだけでなく、ヨーロッパ諸外国への急激的なイタリアオペラの搬出をも増長させていくことにもなりました。

ビバルディのオペラもこの頃から、ベネチア派と呼ばれる複数のオペラ作曲家と共に、イタリアオペラの一環としてビチェンツアを基点に世に知られていくことになります。

なお、この時期には前述で触れたカバッリなどに見られた中期オペラの様式、レチタティーボ(劇中での語りや演説を強調し、話すように歌う歌)とアリア(技巧的に歌われる独唱歌)の分化がより顕著になり、ダ・カーポ・アリアやダル・セーニョ・アリアが主体となるようになりました。

ダ・カーポ・アリア、ダル・セーニョ・アリアには、その反復形式の特徴に加え更に変奏の技巧が適用され、歌手は自己の歌唱力や工夫により、各々の音楽旋律に合った装飾的な要素を色濃く歌い替えする表現、技法を高めていくことになり、この頃から比較的、近代のオペラに見られる特徴が定型化されるようになっていくのでした。