ビバルディのオラトリオとしては、さらに次にあげる3つの作品が上げられます。
作品番号順にオラトリオ「ファラオの神モイゼ」RV.643 、「東方三博士による嬰児イエスへの礼讃」RV.645 、「教皇ピウス5世の予言した海戦の勝利」RV.782などがありました。
なお、「ファラオの神モイゼ」は、「勝利のユディト」初演の2年前1714年に作曲されており、これはピエタ養育院での教職者としての関係回復にあたり、まさにピエタのために作られた作品であったと言われております。
しかし残念ながらシナリオ以外は現存していなく、今ではこの作品の詳細を知る由もありませんが、「勝利のユディト」と同様に当時の聴衆をさぞ魅了させたことでしょう。
これを裏付けるのが「勝利のユディト」の楽譜上に見られる楽器編成にあると考えられます。ここにはピエタの音楽学校で使用されていたと思われるあらゆる楽器(ビオラダモーレ、シャーリモー、テオルボ、リコーダを含め)にて編成されており、これはあらゆるビバルディの作品に見られる当時としては奇抜、奇妙とさえ言われた斬新な発想の試みを披露することで、より多くの聴衆を引きつけようとしたビバルディ自身の意思のようなものを感じとることができるからでしょう。