バロック時代後期のオペラ(14)ビバルディの才能

バロック後期のオペラ(14)
ビバルディ独自の才能

ビバルディのオペラにおける独自の才能が見られる要素が他にもあります。
ここでは、ビバルディが活躍した時代のオペラ上演が、今では考えられない情景で執り行われていたことに着目されます。

当時は上演中にも関わらず、飲食、遊具の使用、中座は日常茶飯事であり、また劇の進行もアリアが途中で入り込んだり、物語り上は見せ場を演出しているレチタティーボが関心を持たれずに、大方アリアによって各々の場面が途切れてしまう傾向にありました。

そして観客が、着座し静まり返るのは、歌手が技巧的なアリアを独唱する場面においてとなっていました。

この点、ビバルディは上演するオペラの舞台構成、演出の上で、上演の際に舞台装置はほどほどにし、管弦楽団もそれ程大きくは編成せず独奏者としても優秀な人材を揃え、ベネチア聴衆の嗜好でもあった高く澄み切る歌声が出せる若くて有能な歌手を抜擢するようにして、観客の注目を集めるように工夫し、これらの資源的要素を最大限に引き出せる創作に徹し、聴衆のニーズに応えるようにしていたと言われております。

以下に、散逸している残りの7曲を記載します。

15.メッセニアの神託(RV.726)、
16.ロズレーナとオランタ(RV.730)
17.忠実なロズミーラ(RV.731)、
18.スカンデルベルグ(RV.732)
19.セミラーミデ(RV.733)
20.ヘルシア王シロエ(RV.735)
21.ティエテベルガ(RV.737)

などがあります。