ビバルディの協奏曲集 作品11編

ビバルディの絶え間ない協奏曲への創作意欲
(協奏曲集 作品11編)

ビバルディの偉大な功績として、既にこの時代に協奏曲を確立したことは、これまでに幾度か触れてきましたが、先に紹介した金管楽器であるフルートを主体にした協奏曲のみの創作にはとどまりません。

この作品11では、第1番から第5番が通常のバイオリン協奏曲です。
これに対して第6番では、木管楽器であるオーボエまでを見事に協奏曲として成立させているのです。

全体をとおして言えることは、作品8「四季」ほどの華やかさは感じられませんが、むしろ落ち着きの中に情熱的な旋律が内面から感じられるのが印象的です。

以下に、第1番から第6番までの構成を記します。
1.バイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 RV.207、
2.バイオリン協奏曲 第2番 ホ短調 RV.277、
3.バイオリン協奏曲 第3番 イ長調 RV336、
4. バイオリン協奏曲 第4番 ト長調 RV.3085.
5.バイオリン協奏曲 第5番ハ短調 RV.202、
6.オーボエ協奏曲ト短調 RV.460。

尚、第6番はバイオリン協奏曲集《ラ・チェトラ》作品9-3が、オーボエに編曲された作品として知られていますが、優れたバイオリン奏者でもあったビバルディが、ここでも時代を先取りする創作を試みていることに多大な創作意欲を感じると共に、円熟期に達した巨匠の真髄がよく表現された作品であるとも思われます。