ビバルディ晩年の活動(4)

ビバルディ晩年の活動(4)
~過去の栄光を胸に~

フェルラーラでの惨事により、精神的にも身体的にもその傷跡が隠しきれないビバルディでしたが、それでも挫折から抜け出すように、1738年にアムステルダムの劇場100年を祝う演奏会に参加しております。

またこの頃、既にピエタの教職者の立場にはありませんでしたが、1739年にはザクゼン選帝侯のフリードリヒ=クリスティアン公爵(王子)を迎える演奏会にて指揮をとるなどの華やかな舞台にも参加しております。

クリスティアン公爵が、ビバルディの演奏を聴くためにベネチアを訪れたことを知っていたビバルディは、かつてたくさんの都市へ演奏旅行へ赴いたビバルディを熱烈に歓迎し、また自分の作品を高く絶賛してくれた過去の煌びやかな栄光の日々と、自信に満ちた気高く誇りに満ちた日々を回想せざるを得なかったことでしょう。

これに勢いを取り戻すかのように、1740年にはシンフォニアをピエタの為に作曲していますが、これはむしろベネチアとの別れを告げる作品になるのでした。

尚、シンフォニアとは17世紀初頭から18世紀中頃まで、歌劇の前奏器楽曲として作曲、演奏された交響楽となります。

以下に、ビバルディの残したシンフォニアの代表的な作品7曲を記します。
1.弦楽のための協奏曲 ハ長調 RV.109 、
2.シンフォニア ホ長調 RV.132、
3.シンフォニア ヘ長調 RV.137(RV.543と同一とされています。)、
4.弦楽のための序曲(シンフォニア)ト長調 序奏 RV.144 、
5.弦楽のための協奏曲 ト長調 アラ・ルスティカ(田園風)RV.151、
6.弦楽のための協奏曲 変ロ長調 コンカ(法螺貝)RV.163 、
7.シンフォニア ロ短調 聖なる墓に(聖墓のそばに)RV.169。