ビバルディの旅立ち、それは永遠の魂となって(4)
~最終章~
ビバルディの最期は、あれほどの栄華を極めた作曲家としてはあまりにも虚しいものを感じますが、自己の音楽の追求を続けようとしたビバルディにとっては、聖職者、興行師などのさまざまなしがらみから解放され、ビバルディの人生においてはさぞ喜びに満ちた日々であったのではなかろうかと思われます
また、ビバルディの作品は、最期の時期にはこの世から既に忘れさられ、多くの楽譜は売られるなどして散逸してしまった関係もあり、ビバルディの名前も以後数百年もの長い間、残念ながらけして脚光を浴びることはありませんでした。
時を経て後世になると、ビバルディが眠る共同墓地は取り壊され、現在はウィーン工科大学の構内に変わっており未だにそのなきがらは行方不明ですが、現代になるとビバルディの残した作品の数々は、世界中のあちらこちらで再びその産声をあげるやいなや、またたく間に世の人々の心に大きく波うつインパクトを与えながら広まりをみせ、そのメロディーを誰もが口ずさみ、その口ずさまれた音色を知らない人はいないほどにもなりました。
そして今日では世界中のあちらこちらで演奏される数多くのビバルディの作品は、よりいっそう人々の心に深い共感を与え定着化しているのです。
まさに生前のビバルディ自身が蘇ったかのような面持ちで、かつてのビバルディの作品は復活していったのです。
ビバルディの死後、数百年経つにも関わらず、現代人が今更のようにビバルディが伝えようとしたバロック音楽の神髄に触れる時、人々はビバルディ自身が感じた音楽への喜びに触れることになり、ビバルディの音楽が人々の心に再び蘇り永遠に忘れられることはなくなるのでしょう。
(なお、「ビバルディ」についての記事は、これで終わりとなります。次回からは「バッハ」について徹底的に書いていきますので、どうぞお楽しみに!)