バッハの少年期とその変貌

バッハの少年期とその変貌

バッハを取り巻く環境は、8歳頃まで音楽を中心とした恵まれた生活で、家庭環境にありましたが、1693年には、バッハの弟(クリストフ)を失い、翌年1694年5月には母マリア=エリザベートが亡くなり、父アンブロジウスは早々に再婚しますが、1695年にはアンブロジウスまで他界入りしてしまうなど、短い年月の間に、大切な家族達を失い、大きく家庭環境が変化してしまうのでした。

これを境に、バッハはオルガン奏者であった長男クリストフに、兄ヤコブと共に引き取られ1699年の14歳頃までオールドルフにて養育されることになったのです。

しかしながら、長男クリストフは、自身の家族を養っていた上にバッハを含め二人の弟の養育もせざるを得ない状況であり、少ない給料を何とかやりくりしなければ生活できない程で、父の生前とはうって変わり幼少期の生活と比べけして恵まれた経済状況ではなかったとものと思われます。

不幸にもこのような変貌が、容赦なくバッハ少年を苦しめるように襲い掛かりますが、バッハは自分の身の回りに起きるさまざまな避けられない現実に耐えながらも、そのやり場のない気持ちの救いどころを、よりいっそう音楽の世界に求めるようになり、この頃から音楽の世界で自己を見出していこうと考えるようになっていったと思われます。