バッハのカンタータ第4番「キリストは死の縄目につながれたり」(6)

バッハのカンタータ第4番「キリストは死の縄目につながれたり」BWV.4(その6)
第5曲 第4変奏「世にも奇しき戦起こりて」

4/4拍子の構成で、合唱・通奏低音にて演奏されます。
冒頭では、テノールが独唱し、これをカノン(楽曲様式における追複曲)の技法によって、その途中でアルトにより曲の主旋律が奏でられていきます。

印象的なのは、半音階により劇的な音の変動による効果を用いるなどして再び「生命」と「死」の格闘を表現する歌詞が歌いあげられていきます。

「生命」を維持しようとする人類との戦いに敗れ去った「死」に対してののしる様子が、絶妙なバランスで合唱されており、聴くものの心を捉えていきます。

そして最終節の主をほめたたえる「ハレルヤ」では、安堵感だけでなく、どこか満ち足りた人類の喜びと共に、その旋律から優越心のようなものすら感じとることができます。

また、ここではとりわけルターが創作した歌詞にバッハらしい旋律とその構成がうまく融合しているこの曲の特徴がよく表現されているパートであると思われます。