第6曲 第5変奏「まことの過越の小羊あり」
これまでの第1曲から第5曲までとは相違し、唯一3/4拍子での構成となっており、バスの独唱弦楽器、それから通奏低音で演奏されます。
人類が「死」に打ち勝った背景に、イエス=キリストの犠牲があった旨を告げる個所は2つの節で構成されています。
讃美歌の旋律がバスにより朗誦され、複数のパートが同じ音程で同じ旋律を演奏するユニゾンの旋律が弦楽器で演奏され、リフレイン形式(楽曲の形式のひとつで、主だった旋律の前にそれと同等かそれより長い前語りを持つ楽曲の形式)で反復されていきます。
また犠牲を伴いながらも力強く格闘した「死」との戦いを回想するパートの旋律では、バスが怒りと憎しみをぶつけるかの様に独唱すると共に、弦楽器がこのバスを華々しく後押をしていく箇所がありますが、劇的な旋律の流れが印象的です。
また、最終節のハレルヤでは、低音域での高低の変動があり、もはやバスの音域を超えていると思われるパートがあるのもこの曲の特徴であると言えます。