前回の「平均律クラヴィーア曲集」(その1)でも一部紹介してきました様に、バッハはこのクラビィーアによる曲集を家族や弟子達の音楽の基礎教育を目的に教材用に作曲していたものとされていましたが、それだけではなく家族で家庭内のアンサンブルを楽しむ為にも用いられていたようです。
このようなバッハの取り組みは、自己の音楽の世界が、あたかも当時の音楽界の中心にあり、バッハの作品こそお手本、または基本なのであることを誇示していたかのようにすら思え、また音楽界の末を予期していたような正々堂々とした生き方には、音楽を知り尽くした真の実力者の生きざまのようなものが感じられます。
さてここでは、平均律クラヴィーア曲集第1巻の全24曲の詳細を1曲ずつ聴いていきたいところですが、膨大な曲集でもあるので、下記のように全体像までを追うこととします。
前半の12曲は、以下のとおりです。
1.BWV846 前奏曲 - 4声のフーガ ハ長調、
2.BWV847 前奏曲 - 3声のフーガ ハ短調
3.BWV848 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ長調、
4.BWV849 前奏曲 - 5声のフーガ 嬰ハ短調
5.BWV850 前奏曲 - 4声のフーガ ニ長調、
6.BWV851 前奏曲 - 3声のフーガ ニ短調
7.BWV852 前奏曲 - 3声のフーガ 変ホ長調、
8.BWV853 前奏曲 変ホ短調 - 3声のフーガ 嬰ニ短調[8]
9.BWV854 前奏曲 - 3声のフーガ ホ長調、
10.BWV855 前奏曲 - 2声のフーガ ホ短調
11.BWV856 前奏曲 - 3声のフーガ ヘ長調、
12.BWV857 前奏曲 - 4声のフーガ ヘ短調