バッハの「平均律クラビィーア曲集」 第2巻(その4)

バッハの「平均律クラビィーア曲集」第2巻(その4)
さて、この平均律という曲名ですが、バッハの活躍した時代において、その従来の一般的な純正律法に対し平均律の調律法により作曲されたものであることは言うまでもありません。

平均律による調律法は、バッハが活躍した時代よりも以前に既に複数の作曲家によりその姿を現わにしており、その誕生は16世紀初め頃であったと言われています。

バッハは、特にヨハン=カスパール=フェルディナント=フィッシャー(1670~1746年)の「新オルガンのための20の小プレリュードとフーガ」による影響を受けたものと考えられています。

フィッシャーは、ドイツ盛期バロック音楽の作曲家で、1695年までにバーデン大公であったルートビヒ=ウィルヘルムの宮廷楽長を務めた略歴のある作曲家でした。

さて、ご存知のようにクラビィーアは鍵盤楽器の類となるので、バッハのこのような多種多様な調により構成された曲においては、例えば比率が等分でない12個の半音程を演奏する場合には、如何にすご腕のオルガン奏者といえども、かなり至難の業であり困難なものとなるのです。

このような現実性から考えると、バッハが先人達の作品をこよなく愛し、これを鍛錬に演奏してみることで自然に学習したものとも思われます。

バッハは、これに飽き足らず自己の作品にこれを取り入れ、更なる飛躍的な技巧性を兼ね備えさせたのです。

これにより、以後音楽界においてはショパンなどの作品にも影響を与え、今日では平均律法による代表作品としての位置付けにあるのです。