バッハの「2つのバイオリンのための協奏曲 二短調」 BWV.1043(その3)
この曲の最終楽章となる第3楽章は、「二短調 3/4拍子、アレグロ」で、同じ二短調でも第1楽章のそれとは相違しています。
全体にさらに明るい旋律が、早いテンポで奏でられ楽節の構成も独奏部と合奏部がうまく融合しており、いかにもバッハらしい流れるようなスマートな味付けが印象的な曲であるのが特徴です。
この楽章でも、第1バイオリンの旋律を第2バイオリンが追奏していき、双方の楽節の間では合奏部がみられ、弦楽器群は両者の独奏を引き立てようとするかのように、独特の旋律でその伴奏を展開していきます。
やがて第1バイオリンの独奏に誘導されていくかのように、徐々に始めの駆け出しの楽節がその姿が現られ始めると、ここから全楽器群による演奏となるやいなや、第1バイオリンと弦楽器群が見事なバランスで追奏を繰り返しながらこの曲の山場を迎えるのです。
更に後半部では、第1バイオリンと第2バイオリンによる双方の独創的なカデンツァを融合性させたような演奏により、足早にこの楽節の旋律を駆け抜けていきます。
以後、転調が生じたかと思うと、冒頭の楽節にみられた旋律を今度は、全楽器群による音階が折り重なっていき、力量感を感じながら終曲を迎えるのです。