バッハの「6つの無伴奏バイオリンソナタ第1番」 第1曲「ソナタ第1番ト短調」(その2)

バッハの6つの無伴奏バイオリンソナタ第1番「ソナタ第1番ト短調」BWV.1001(その2)

バッハの「6つの無伴奏バイオリンソナタ第1番ト短調」は6つから構成される曲集の導入にふさわしく、対位法や洗練された和音の使い方などを織り込んでおり完成度の高い曲であるといえます。

特色としては、「緩—急—緩—急」の第1楽章から第4楽章で構成されてからなり、典型的なソナタの形式をとっているのですが、これが整然とした厳粛性を兼ね備えており、いかにも教会のソナタである面持ちを感じさせます。


さて第1楽章「アダージョト短調4/4拍子」は、プレリュードを思わせる曲調であると言えますが、全曲をとおして重厚な響きが主体とされたモチーフがあります。

第2楽章「フーガ・アレグロト短調2/2拍子」は、バッハの「フーガ ト短調 BWV.1000」として編曲されたものであり、バッハ自信この第2楽章の旋律が、気にいっていたようです。

バッハが鍵盤楽器の優れた演奏家でもありましたが、複数声部のフーガを演奏家にあたかも普通に弾かせようとするパートがあるのですが、ここからはバイオリンにおいてもバッハの演奏技術の高さをうかがい知ることができるのです。

第3楽章「シチリアーナ変ロ長調8/12拍子」は、シチリアーナの舞曲をモチーフとした形式で構成され、ユニークな仕上がりとなっています。

なお、シチリアーナは、その発生起源をシチリアーナ地方とする舞曲で、ルネサンス音楽の末期から初期のバロック音楽にかけて頻繁に多様されたものです。

ゆるやかな8/6拍子か8/12拍子で作曲され、短調を用い躊躇いがちな曲想と付点リズムが含まれるのが特徴です。
器楽曲の楽章として用いられるだけでなく、オペラのアリアにも応用されています。

第4楽章「プレストト短調8/3拍子」は、巧みな上昇音による形式、下降音による形式を頻繁に用いている特徴があります。