第4曲「パルティータ第2番ニ短調」BWV.1004(その5)
この作品集で2番目のパルティータですが、他の曲には無い特徴が幾つかあります。
まず曲の構成が5楽章形式であり、全5曲が二短調で作られているところです。
また、全6曲の中でも、一番広く親しまれている曲でもあり、第5楽章の「シャコンヌ」は、後にピアノの演奏用に編曲されており特に名高い曲でもあるのです。
各々楽章は、第1楽章「アルマンダ 二短調 4/4拍子」、第2楽章「コレンテ 二短調 3/4拍子」、第3楽章「サラバンド 二短調 3/4拍子」、第4楽章「ジガ 二短調 12/8拍子」、第5楽章「シャコンヌ 二短調 3/4拍子」となっております。
なお、第5楽章のシャコンヌは、全部で257小節からなる非常に長い構成で、特定の低い音、執拗音型を用いた変奏曲であるところから、その名称の由来があるとされています。
音楽史においては17世紀までその多くが快活な3拍子の舞曲的な位置付けにありました。
またバイオリンの特性を踏まえながらも、多種多様な演奏技巧が含まれており、同時に深い精神的要素、また宗教的な崇高さが感じられるのがこの曲の特徴でもあります。
特に、演奏における技巧性が要求される主題旋律は、三重音・四重音を多用している為に、非常に難易度の高く、バイオリニストの演奏技術や表現力の豊かさが問われる曲でもあるのです。
この演奏は、数ある名演奏の中でも、特にナタン=ミルシティン(1903-1992年:ウクライナ出身のアメリカのバイオリニストで、バイオリンの貴公子と称された。)で聴いてみることをお薦めしたいところです。