第1組曲ト長調 BWV.1007 「第4曲~第6曲」(その2)
前回に続き6つの無伴奏チェロ組曲-第1組曲ト長調 BWV.1007について、その「第4曲~第6曲」を紹介します。
④第4曲 「サラバンド」、二部形式、3/4拍子。
重音奏法を使って落ち着いた雰囲気が見られる曲調に特徴があります。
一見すると単純であるかと思われる舞曲の構成に、多声的な要素がふんだんに盛り込まれています。
重音奏法の技巧がかなり駆使されている為か、一つの楽器による演奏とは思えない多彩な効果音が随所に聴いて取れるのです。
このような重音奏法を大型の弦楽器であるチェロに取りこむのは、一般的に困難性があるのですが、バッハは主旋律に絶妙なフレーズを織り込む曲調を構成しているのです。
⑤第5曲「メヌエット」 I/II 三部形式、3/4拍子。
メヌエットは、第1部 ト長調、第2部のト短調に分けて構成されています。
しかし、ややもするとあたかも二部形式のように聴いてとれるのですが、第2メヌエットのすぐ後に、第1メヌエットが今度は反復すること無く登場し、再び表れるとの特徴があるのです。
この為、三部形式であると言えるのです。
また第3、第4曲と同じ様に速度指示の無い舞曲が主体となっています。
⑥第6曲「ジーグ」二部形式、6/8拍子。
イタリアのテンポが早い舞曲であるジグを取り入れており、その急速な舞曲の演奏には目を見張るものがあります。
以前ジグを6つの無伴奏バイオリンソナタ 第6曲「パルティータ第3番ホ長調」BWV.1006にも採用していることを、以前に紹介したことがありました。
このような背景からもバッハは、常に時代の最先端の流行を追うことも忘れずに自己の創作を行っていたものと思われます。