ビバルディの協奏曲「ラ・チェトラ」について(後編)
⑩協奏曲 第10番 ト長調 RV300
<1楽章「アレグロモルト」、第2楽章「ラルゴ・カンタビレ」、第3楽章「アレグロ」>、
1曲目では、高から低の和音を順番に奏でることで、旋律の独特のリズム感と深みを演出している特徴が見られます。
先に触れた第4番の第3楽章を思わせるような躍動感に満ちた旋律が3曲目に見られるのが印象的です。
⑪協奏曲 第11番 ハ短調 RV198a
<1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」>、
1曲目では、弦楽器の持つ重厚な低音のハーモニーが最大限に感じ取れる魅力があります。
3曲目では11番の締めにふさわしいビバルディらしい巧みな演奏技巧が随所に見られる特徴があります。
⑫協奏曲 第12番 ロ短調 RV391
<第1楽章「アレグロノンモルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロ」>、
1曲目は、明朗快活な曲調で、2曲目は重厚なハーモニーと独奏の対比が特徴です。
また先に触れた第6番と同様に、変則調弦が用いられた演奏にも特徴があります。
これはバイオリン等の弦楽器において、4本の弦の複数または1本を意図的に通常と異なるピッチにして、楽器本来の調弦法とは違う音にして演奏する奏法であることは言うまでもありません。
以上の全12曲を通して聴く場合には、ライブでと言いたいところですが、CD録音等でも十分ご理解いただけます。
個人的にはやはりその洗練された演奏を余すところなく聴かせてくれる「イタリア合奏団」の演奏をお薦めします。